事業収支の用語解説
事業収支を読み解く前に、難しい用語を分かり易く解説していきます。
１．キャッシュフローツリー
①総潜在収入（ＧＰＩ・ＰＲＩ）
想定した賃料で、１年間満室状態だった場合に得られる収入のこと。
つまり、想定できる「最大の収入」のことです。
②空室損失・未回収損失
空室または、滞納等による回収不能状態によって、予定していた収入が得られなかった損失のこと。
フリーレントも未回収損に含まれます。
年間平均解約率の目安は、
シングルタイプ ＝２５％程度
ファミリータイプ＝２０％程度
年間平均解約戸数 ＝ 総戸数 × 年間平均解約率
平均空室月数は、退去後～入居までの募集期間のことで、通常２～３ヶ月です。
空室率 ＝ 年間平均解約戸数 × 平均空室月数 ÷ 総戸数 ÷ １２ヶ月
空室損額 ＝ 総潜在収入 × 空室率
③賃料差異
値段交渉等により、当初の予定とは違う金額になった場合の損失のこと。
どのような場合に起こるかというと、査定ミス・競合増加・供給過剰・デフレ・物価下落・完成時期の遅れ・仕様変更・施工不良などの理由が考えられます。
④実効総収入（ＥＧＩ）
実際の収入のことで、敷金などの預り金は含みません。
⑤運営経費（Ｏｐｅｘ）
物件の管理運営にかかる費用のことです。
・修繕／メンテナンス
・管理料
・募集経費
・固定資産税
・火災保険料 など
⑥営業純利益（ＮＯＩ）
実際の収入から、運営費を引いたもので、借入金返済前の手取り収入のことです。
物件の収益力を表す、非常に重要な項目です。
⑦年間借入返済額（ＡＤＳ）
借入金に対する年間の返済総額のことで、通常、「元金」返済部分と、「金利」支払い部分の合計となります。
⑧キャッシュフロー・税引前の手取り収入（ＢＴＣＦ）
所得税／住民税を支払う前の手取り収入のことです。
２．担保掛目（ＬＴＶ）
ＬＴＶとは、Loan To Valueの略で、負債比率のことです。
つまり、投資総額に対する借入金割合のことです。
担保掛目（ＬＴＶ） ＝ 借入金額 ÷ 投資総額
「その不動産を買うのに、何％他人のお金でまかなったか？」を見る指標です。
不動産投資の世界でよく登場するレバレッジという言葉は、てこの力という意味で、より少ない力（自己資金）でより大きなもの（不動産）を動かすときに「レバレッジが効いている」という風に使います。
ＬＴＶはまさに、このレバレッジの効き具合を表す指標といえます。
ちなみに、対義語は、自己資本比率となります。
３．投資回収期間（ＰＢ）
投資した自己資金が回収できる年数のことです。
投資回収期間（ＰＢ） ＝ 投資自己資金 ÷ 手取り収入
お金の出入りを、流れに沿って上から下に向かってまとめたものです。
総潜在収入（ＧＰＩ）
▲空室損失・未回収損失
▲賃料差異（予想と実際の賃料の差）
＝実効総収入（ＥＧＩ）←実際の収入
▲運営経費（Ｏｐｅｘ）
＝営業純利益（ＮＯＩ）
▲年間借入返済額（ＡＤＳ）
＝税引前の手取り収入（ＢＴＣＦ）